支輪組物の考察 ・・・組物の定義について
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○ 最初に
御所車型屋台にある組物について、素人なりに定義をしてみました。
組物とは本来、和様建築の軒を支え、飾る構造物のことで、御所車型屋台においては屋根高欄の軒下、
いわゆる「支輪」と、その下にある梁や桁の「欄間」で見られます。
特に支輪の組物は、屋根高欄部の軒が寺社建築とは異なりさほど大きくなく、瓦などが載らないことから
本来の「重量物を支える」ということよりも「飾り」の要素が強いと思われますが、出組(一手先)、ニ手先と
組まれた組物は見栄えが良いことから、改修・新造の度に豪華になってきている傾向があると推測されます。
組物に関しては寺社仏閣の建築形態を書籍などで確認してみましたが、どうやら屋台の組物は本来の
用途とは若干異なるため、既存の物件と照らし合わせてみても曖昧な定義しかできないようです。
○ 組物の定義
図1は寺社建築における代表的な組物を簡単に示したものです。建物壁面にある柱に
組物(出三斗)があり、そこから出組(一手先)、二手先を表しています。ここで重要
なのは丸桁(がぎょう、がんぎょう)があることです。組物と丸桁があることで出組が
構成されているという認識です。
では御所車型屋台の組物はどうなっているでしょうか。図2は初期の組物の形態を示
しています。寺社建築と大きく異なるのは、建物壁面の出三斗などの組物が見当たらない
ことです。これは先に書いたとおり、欄干を含めた縁板などの上層構造物に重たいものが
載らないため、強度がさほど必要ではないためだと推測されます。
構造としては張り出した梁の上に斗(ます)があり、その上には丸桁がありますので
建物壁面の組物有無が唯一の違いということになります。
御所車型屋台のこの形態を「出組」と呼べるのか否か、知り合いの建築家や大工さんに
尋ねてみましたが、「そうとも、そうでないとも言えるかも」という明確な線を引き辛い
回答がありました。よって素人の独断と偏見で定義させていただきますが、これを
遠州の2輪御所車型屋台では、上記図2は「出組(一手先)」とみなす
ということに決めました。勿論、あくまでこのサイト上での定義です。
・例1 出組(一手先) 袋井市山梨金屋敷 遊錦舎 ・例2 出組(一手先) 菊川市日ノ出町一丁目
○ 二手先について
図3は大正期から昭和初期にかけて見られる二手先過渡期の組物です。縁板の幅が広がり
屋台の大型化が進んできた頃の形態ですが、これも先の定義に当てはめれば「二手先」という
ことになります。しかしその後に本格的な二手先(図4)が登場していますので、これと区別
するために、図3の二手先を
「初期二手先」とする
ということに決めました。勿論、あくまでこのサイト上での定義です。
・例1 二手先(初期) 森町飯田若宮 若宮社 ・例2 二手先(出三斗無し) 森飯田城北 城栄社
・例3 二手先 森町明治町 明開社 ・例4 二手先(二段) 磐田市豊岡川原 川原連