屋台の型式について 四輪屋台                     戻る


○静岡県西部の天竜川流域、そして駿河湾沿岸の「水」を連想させる地域に幅広く分布している
 四輪屋台。全国的に見れば四輪屋台の方が普遍的にありますので、その分、型式も細かく
 なっています。
 私の推論ですから、誤記・誤解はもちろんのこと、みなさんの御指摘や御考察も受け入れて改訂していく
 所存ですので、御理解と御協力をお願い致します。
 下記の型式表ですが、1台のみの特異な型式に関しては亜種として考えており、あくまで複数台存在するもの
 のみ分類させて頂いております。
 (最終改訂 平成24年6月28日)
 
 旧来の手法ですと、どうしても「過去」から推移を追って、その出発の時点でつまづいてしまうので、逆の
 「現在」から遡っていく手法をとってみます。あくまで「現状」からですから、「昔は違う」ということに
 関してはまた別の資料にてお話したいと思っています。 


☆ 四輪屋台の型式(ここいらへんのお祭りサイト内のみ適用の分類ということで御容赦を)

車輪数(類) 構造(型) 構造(形) 構造(式) 通称・呼称・別称 特 徴 分 布 備考
四輪 囃子台型
皆囃子台形
一層唐破風屋根  掛塚型
天竜川一帯の四輪屋台基本形
掛塚、浜松、天竜、浜北、磐田、豊岡、豊田、春野、佐久間、水窪、浅羽  
一層切妻屋根
子供屋台等
各地

一層陸屋根

各地
段層屋根
平野式二軒屋台
前方に一段下がった屋根が付く
磐田、福田、浜松

重層屋根
御殿屋台

浜松、磐田

前囃子台形 後方楽屋
屋台後方に四方が囲まれた部屋状の空間がある
金谷
昇降台付 江戸型
後方に昇降機があり人形が上下する 雄踏、富士吉原  
前出高覧舞台形  
前方に出高覧
於呂、根堅、宮口
 
前舞台形

前方に出舞台
静波
舞台型常設形
一部屋根相良型
舞台上に屋根がない
相良

仮設形
屋根下設置

屋根の下に舞台を引出す
吉田、榛原
前方設置

屋台の前に舞台を作る
相良、榛原

太鼓台型




舞阪周辺

船型


本物の船を改装
見付、鹿島




○囃子台型(四輪 皆囃子台形 一層唐破風屋根式  掛塚型)

    
・磐田市竜洋掛塚 大当町 大組            ・浜松市天竜区二俣 新町 南ガク連         ・磐田市福田 大島 大島連

  四輪の屋台と言えばこの形、と言ってよいほど広く分布し、そして影響を与え続けている型式。発祥の地は竜洋掛塚。
 基本構造は直径1〜2尺の四輪の上に枠木があり、そこから腰板を立てて高欄のある囃子台が載る。屋根は一層の
 大唐破風。屋根の前後には鬼板(屋根の上)、懸魚(屋根の下)の彫刻が付く。脇障子は後方にある。
  


○囃子台型(四輪 皆囃子台形 一層切妻屋根式) 
  
・牧之原市榛原 静波西五丁目             ・森町 栄町 金守社
 一唐切妻屋根                        前唐破風+切妻屋根 

  切妻屋根を持つ四輪屋台。子供屋台に見られる。



○囃子台型(四輪 皆囃子台形 一層陸屋根式) 
  
・磐田市豊岡 社山 社山若連             

  陸屋根を持つ四輪屋台。 



囃子台型(四輪 皆囃子台形 段層屋根式  平野式)

   
・磐田市中泉 桜ヶ丘 鴛鶯社             ・磐田市中泉 栄町 新栄社               ・磐田市中泉 西町 鑾留閣 
 前唐破風+唐破風屋根                 前唐破風+唐破風屋根+高欄              前唐破風+高欄陸屋根 

  大工・平野氏が手掛けた屋台に見られた形態。前方の唐破風屋根が一段下がっており、その下の高覧も狭くなっている。
 その他の構造は基本的に掛塚型となる。屋根の形態には数種類あり、見方によっては三層とのものもある。


・磐田市中泉 久保町 玉匣社 
 前唐破風+高欄陸屋根+唐破風屋根 


  
○囃子台型(四輪 皆囃子台形 重層屋根  御殿屋台)

   
・浜松市天竜区二俣 横町 叉水連                    ・浜松市中区天神町
 一層目:唐破風軒搦+二層目:唐破風四方屋根             一層目:唐破風軒搦+二層目:唐破風屋根

  基本構造は掛塚型の重層屋根。一層の屋根はそのほとんどが唐破風に四方が反り上がった軒を絡めてあるため
 「唐破風屋根軒搦」とも称される。中には浜松城を模したものもあるが、ここではまとめて御殿屋台とする。

 
・浜松市中区元城町
 城造屋根  


 
 
囃子台型(四輪 前囃子台形 後方楽屋)

  
・島田市金谷 第二ブロック 第二屋台                   ・島田市金谷 第三ブロック 第三屋台
  
  後方に楽屋の様な部屋がある。滋賀県長浜の屋台などでは舞台の後方に楽屋があるが、当地域では
 囃子台の後方に楽屋がある。



囃子台型(四輪 前囃子台形 昇降台付  江戸型

 
・富士市吉原 六軒町                  ・富士市吉原 東本通一、二丁目

  遠州地区ではあまり見られない昇降機を持つ屋台。江戸で一本柱万度型屋台の後に出現し、その後の
 主流となった型式。



囃子台型(四輪 前出高覧舞台形

 
・浜松市浜北区根堅 八区雲岩寺 う組       ・浜松市浜北区宮口 土取 つ組

  浜松市浜北区の旧秋葉街道沿いで見られる形。形態的には掛塚型に似るが
 一段下がった前舞台がある。この舞台では御囃子や舞いは行われない様で
 宮口では人形が乗る。
 



囃子台型(四輪 前舞台形

   
・牧之原市榛原 静波四丁目 芝原           

 最前に踊り台がある形態。



舞台型(四輪 常設形 一部屋根無  相良型)

  
・牧之原市相良 波津 第三ブロック屋台                 ・牧之原市大沢 若一屋台           

  舞台が前方に常設された屋台。相良地区で見られる。



舞台型(四輪 仮設形 屋根下設置
 

・吉田町川尻西 西組           

  曳き回し時には格納されており、舞いを披露する際に仮設舞台を設置する形。
 色とりどりの提灯で飾られた張り出し屋根の下に設置される。



舞台型(四輪 仮設形 枠木設置
 
   
・牧之原市静波六丁目                  ・牧之原市静波十一丁目                 ・牧之原市片浜 木之宮屋台           

  こちらも仮設舞台を設置する型式。屋台前方に張り出して設置するため屋根は一切被らない。

 


太鼓台型(四輪 太鼓台
 
   
・浜松市西区舞阪町弁天島 一弁 辯天嶋連               ・浜松市西区舞阪町弁天島 二弁 辨天嶋連           

  舞阪町を中心として分布する型式。大きな太鼓を運ぶ枠木で構成されている。



船型(四輪 船型
 
   
・浜松市天竜区北鹿島                  ・磐田市見付富士見町 元門社             ・磐田市見付地脇町 地脇

  実際の船を改修して作られた物が多い。川や入江に関する地区に見受けられる。